寝るときの服、なんとなく選んでいませんか。締めつけ・肌ざわり・寝返りのしやすさという3つの視点から、体のしくみと合わせて整理してみました。
なぜ冷える・こる・ゆがむのか。体のしくみからやさしく解き明かします
寝返りの回数を数えてみたら
先日、ウェアラブル端末の睡眠記録を見返していて、ふと気になることがありました。ゴムのウエストがきつめのスウェットで寝た夜と、ゆったりしたパジャマで寝た夜とで、記録される「寝返りの回数」に差が出ていたのです。もちろん体調や気温など他の条件も関わっているので、これだけで結論を出せるものではありません。ですが、寝返りが少なかった夜は、朝起きたときに肩や腰のあたりが重く感じることが多いような気がして、少し調べてみることにしました。
寝返りは、無意識のうちに体の一か所にかかる圧力を分散させたり、寝床内の温度や湿度を調整したりする働きがあると言われています。一晩に20回前後の寝返りを打つ人が多いとされていますが、これは体格や年齢、寝具によっても変わるため、あくまで目安のひとつとして捉えるのがよさそうです。問題は、着ている服がその寝返りを邪魔していないかどうか、という点でした。
締めつけが自律神経に与える、ささやかな影響
体には、活動的なときに優位になる交感神経と、休息時に優位になる副交感神経があります。夜、眠りに向かう過程では副交感神経が優位になっていくことが望ましいとされていますが、ウエストゴムや袖口がきつく食い込んでいると、皮膚や筋肉への圧迫刺激が続くことになります。この刺激が、体をわずかに緊張状態に保ってしまう可能性があると考える研究者もいるようです。
もちろん「ゴムがきついから眠れない」と単純に言い切れるものではありません。ただ、就寝時の衣類はできるだけ体に余計な情報を送らない、いわば「気配を消す」ようなものが望ましいという考え方は、多くの睡眠に関する書籍でも共通して見られます。日中の服は多少のフィット感があったほうが動きやすいこともありますが、寝るときはその逆で、体が「何も締めつけられていない」と感じられる状態のほうが、リラックスに向かいやすいと言われています。
肌ざわりと寝返りのしやすさ、素材で変わること
肌ざわりについては、汗を吸ったときの感触が大きく関わってきます。人は眠っている間にコップ1杯分ともいわれる汗をかくとされていて、その汗を素材が吸ってくれるか、それとも肌にまとわりつくかで、寝苦しさの感じ方が変わってくるようです。綿やシルクなどの天然素材は吸湿性に優れているとされ、化学繊維でも吸汗速乾を謳ったスポーツウェア由来の生地は、寝具メーカーからも「おやすみ用」として展開されています。
寝返りのしやすさという点では、生地の伸縮性と、体にまとわりつかない立体裁断がポイントになります。試しに、いつも着ているTシャツと、寝間着専用に作られたセットアップを着比べてみたことがあるのですが、後者のほうが横向きから仰向けに転がるときの抵抗感が少なく感じられました。これは主観的な印象なので個人差はあると思いますが、股上や肩まわりにゆとりを持たせた設計の服が増えているのには、こうした背景があるのだろうと納得しました。
最近よく見かけるリカバリーウェアも、この文脈で語られることが多いアイテムです。特殊な繊維で体から発せられる熱を利用して遠赤外線を発生させる、といった説明がされていますが、効果の感じ方には個人差があり、あくまで「快適に過ごすための衣類」として位置づけるのが誠実な受け止め方だと思います。それでも、締めつけの少ない設計と、寝返りを妨げない伸縮性を兼ね備えた製品が多いのは事実で、選ぶときの目安のひとつにはなりそうです。
骨盤と姿勢という「土台」との関係
ここまで服そのものの話をしてきましたが、実は寝るときの姿勢の崩れやすさには、骨盤の傾きも関わっていると言われています。骨盤が左右どちらかに傾いていたり、前後にねじれていたりすると、仰向けで寝ていても体の重心が偏り、無意識のうちに同じ側ばかりをかばうような寝返りパターンになることがあるそうです。日中の姿勢の癖が、夜の眠りにまで影響を及ぼしているというのは、体がひとつにつながっていることを改めて感じさせられる話です。
日中に骨盤まわりを整えておくケアと、夜に締めつけの少ない服を選ぶことは、実は同じ「体に余計な負担をかけない」という発想でつながっているのかもしれません。骨盤ベルトのようなアイテムを使う場合も、24時間つけっぱなしでも苦しくないタイプを選ぶ人が多いのは、この「締めつけない」という考え方と地続きなのだと思います。
結局、何を基準に選べばいいのか
あれこれ調べてみて、寝るときの服選びで見るべきポイントは、案外シンプルにまとめられると感じました。ウエストや袖口にゴムの食い込みがないか、汗をかいたときに肌に貼りつく感触がないか、そして横向き・仰向けと転がったときに生地が突っ張らないか。この3点を基準に、今使っているパジャマを一度見直してみるのもよいかもしれません。
私自身は、あの日ウェアラブルの記録に差が出ていたのをきっかけに、就寝用の服を少しゆとりのあるものに替えてみました。劇的に何かが変わったわけではありませんが、朝起きたときの体の重さが以前より少し軽く感じられる日が増えたような気がしています。これもあくまで個人の感想の範囲ですが、たかが寝間着、されど寝間着。体のしくみを知ると、選ぶ基準が少し変わってくるものだと思います。
※この記事は情報提供を目的とした編集部員の体験・見解です。紹介している商品は医薬品ではなく、特定の症状の診断・治療・予防を目的としたものではありません。体調に不安のある方や治療中の方は、医師など専門家にご相談ください。
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